「海外FXだから、脱税してもばれないのでは?」
「もしばれる仕組みがあるなら、理解しておきたい」
と海外FXにかかる税金で抜け道がないか、考えていませんか?
海外FXでは国内FXよりもレバレッジを高く設定できる性質上、国内FXよりも多額の利益を獲得できる場合があります。
もしそんな状況になれば、せっかく手に入れた多額の利益を税金で徴収されるのは避けたいと、考える方が多いのではないでしょうか?
ですがFXで利益が出たならば、国内外の業者を問わず確定申告で納税義務が生じるので、納税を怠ると脱税扱いになるかもしれません。
そこでこの記事では、
- 海外FXの脱税がばれる理由
- 確定申告が必要なラインとかかる税金
- 税金を下げるための節税方法
を解説します。
この記事を読めば、海外FXの脱税がばれる理由からかかる税金、さらに節税方法まで理解できるので、ぜひ最後まで読んでみてください。
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Contents
海外FXの税金に抜け道はない|脱税がばれる理由は3つ
海外FX業者は本社が海外にあるため、「抜け道のようなものを使えば、脱税してもばれないのでは?」と考えがちです。
ですが結論、海外FXの税金に抜け道は存在せず、ほぼ100%の確率で確実にばれます。
理由は3つあり、下記の通り。
- 金融機関で入出金データが残るから
- 「国外送金等調書」の発行で税務署に通知されるから
- 国際的な租税回避制度「CRS」が存在するから
納税は国民の義務ですが、脱税する人が跡を絶ちません。
例えば2016年に公開されて問題となった「パナマ文書」では、多くの有名企業や著名人が関わっていたことが判明するという事件がありました。
そんな事件も相まって、近年では国際的に脱税者を逃さないような取り組みが活発化しています。
具体的にどのようなものか、1つずつ確認していきましょう。
理由1:金融機関で入出金データが残るから
脱税がばれる理由一つ目は、「金融機関で入出金データが残るから」です。
基本的に海外FX業者の口座への入金や、その逆の出金では国内にある金融機関を経由して行われます。その際に、金融機関に入出金のデータが残るのです。
【金融機関に残るデータ】
- クレジットカードやデビットカードでの入出金記録
- 国内外への送金記録
- オンライン決済データ など
もしこれらのデータを税務署の職員が調査すれば、かんたんに金融機関での入出金履歴、つまりお金の流れが把握できます。
その中に申告していない海外FXの利益があれば、脱税を疑われるのです。
よって、金融機関での入出金から脱税がばれることとなります。
理由2:「国外送金等調書」の発行で税務署に通知されるから
脱税がばれる理由二つ目は、「『国外送金等調書』の発行で税務署に通知されるから」です。
国外送金等調書とは?
金融機関などを通じて国内外へ送金する場合、送金を受けた金融機関が税務署長へ提出するために作成する書類のこと。
国外送金等調書では、以下の記載が義務付けられている。
【記載内容】
- 送金者、もしくは受領者の住所・氏名・個人番号・法人番号
- 年月日
- 本人口座の種類や番号
- 取次ぎした金融機関
- 相手国名
- 送金金額
- 送金原因
- 送金目的 など
国外送金等調書は、送金額が100万円を超える場合に発行されます。そのため高額な利益を出金した場合は、この書類を通じていくら送金したのかが税務署に通知されるため、脱税がばれるのです。
例えば、海外FX業者から160万円の出金を行ったとします。
そうすると、出金先に指定された銀行で国外送金等調書が発行されます。もしその後に確定申告で納税をしなかった場合は国外送金等調書から、出金したのにも関わらず納税していないことが判明してしまうのです。
したがって100万円以上の入出金を行うと、国外送金等調書によりお金の流れが税務署に完全に把握されることを理解しておきましょう。
理由3:国際的な租税回避制度「CRS」が存在するから
脱税がばれる理由三つ目は、「国際的な租税回避制度『CRS』が存在するから」です。
CRSとは?
各国の金融機関から入出金などがあった場合、脱税を防ぐ目的で利用者の出身国にある税務署へ報告がいく制度のこと。
「Common Reporting Standard」の略で「共通報告基準」と呼ばれる。
経済協力開発機構(OECD)が策定した国際基準の一つで、日本を含む100以上の国・地域が参加。
日本は1964年から参加している。
CRS参加国は、非移住者が金融口座を所有していないか常にチェックしています。
海外の口座から入出金などがあった場合は、口座名義や残高などのさまざまな情報を非移住者の出身国の税務局へ連絡する決まりがあるのです。
仮に銀行送金など経由せずにうまく利益を出金できたとしても、海外FX業者の方から各国の税務署へ出金があったことが連絡されます。
つまりCRSによって、各国が連携して金融情報を共有しているので、脱税は事実上不可能と言えます。
確定申告が必要なラインや海外FXでかかる税金はいくら?
海外FXでは利益が出たら、必ず確定申告が必要になるわけではありません。
言い換えれば、一定の利益を獲得すると確定申告が必要になります。
対象者 | 確定申告が必要になるライン |
給与収入がある人(サラリーマンやOL、フリーター、パートタイマーなど) | 海外FXの年間利益が20万円を超えた場合 |
給与収入がない人(学生や専業主婦など) | 海外FXの年間利益が48万円を超えた場合 |
サラリーマンやOLなどの給与収入がある方は、海外FXの年間利益が20万円を超えてくると確定申告が必要です。
また専業主婦や学生などの給与収入がない方は、海外FXの年間利益が48万円を超えてくると確定申告が必要です。
ただしサラリーマンやOLで副業をしている方は、副業収入とFXの年間利益の合計で計算されます。
また学生や専業主婦の方でFXの年間利益が48万円に達していなくても、パートやアルバイトの収入で48万円を超えると確定申告が必要になるので、注意しましょう。
もし下記の条件でどれかに当てはまる場合は、確定申告が必要になります。ご自身がどれに該当するか、確認しておきましょう。
【サラリーマンやOL、フリーターなどの場合】
- 1年間の給与収入が2,000万円を超える場合
- 海外FXの年間利益が20万円を超える場合
- 副業収入と海外FXの年間利益の合計が20万円を超える場合
【扶養家族の学生や専業主婦の場合】
- FXの年間利益が48万円を超える場合
- 1とパートやアルバイト収入の合計が103万円を超える場合
海外FXの税金は「総合課税」で計算される
海外FXの税金は「総合課税」で計算されます。
総合課税とは?
海外FXの利益や給与所得など、他の所得と合算して課税所得を算出し、所得税の税率をかけて所得税を求める課税方式のこと。
所得は全部で10種類ありますが、総合課税に分類される所得は下記の8種類に限定されます。
総合課税に分類される所得の種類 | 内容 |
事業所得 | 個人事業主などのフリーランスが得た所得
農業や漁業などの自営業者の方が該当する所得でもある |
不動産所得 | アパートなどの家賃収入や、船舶などの貸付で得た所得 |
給与所得 | サラリーマンやOLが会社から得た給料やボーナスなどの所得 |
利子所得 | 外貨預金の利子などで得た所得 |
配当所得 | 法人から受け取る剰余金の配当や、投資信託(公社債投資信託等を除く)の分配金などで得た所得 |
譲渡所得 | ゴルフ会員権や金地金などの資産を売却したときに得た所得 |
一時所得 | 生命保険の満期保険金や、競馬や競輪の払戻金など |
雑所得 | 海外FXの利益や、国民年金などの公的年金など |
この中で海外FXの利益は「雑所得」に分類され、上記の他の所得と合算して支払うべき税金(所得税)が決まることを覚えておきましょう。
所得が多いほど税率が高くなる「累進課税方式」
海外FXの税率は、先ほど述べた「総合課税」で合算した所得の合計値(課税所得金額)で決まります。また所得の合計値が多ければ多いほど、所得税率が高くなる「累進課税方式」が取られているのです。
累進課税方式による所得税の税率は、5~45%で変動します。さらに住民税の10%が一律に発生するので、税率は7段階になります。
累進課税方式による税率は、以下の通り。
課税所得金額 | 所得税率 | 住民税 | 合計税率 (所得税率+住民税) |
1,000円~194万9,000円 | 5% | 10% | 15% |
195万円~329万9,000円 | 10% | 20% | |
330万円~694万9,000円 | 20% | 30% | |
695万円~899万9,000円 | 23% | 33% | |
900万円~1,799万9,000円 | 33% | 43% | |
1,800万円~3,999万9,000円 | 40% | 50% | |
4,000万円以上 | 45% | 55% |
上表から海外FXでは最低で15%、最高で55%の税率となります。
そのためFXの年間利益が多いなら、残業やアルバイト時間などを減らして給与収入を調節しましょう。そうすれば、3~10%の間で税率を下げることができます。
海外FXの税金を下げるための節税方法は3つ
海外FXの税率を下げるためには、税率計算の基となる課税所得を下げるのが有効です。
そこでここからは、税金を下げるための節税方法を具体的にご紹介していきます。
海外FXでも利用できる節税方法は、以下の通り。
- 損益通算で他の損益と相殺させる
- 必要経費をできるだけ計上する
- 各種控除を利用する
全て行うのではなくどれか1つだけでも十分効果はあるので、自分でもできそうなものがあれば実践してみましょう。
節税方法1:損益通算で他の損益と相殺させる
節税方法一つ目は「損益通算で他の損益と相殺させる」です。
損益通算とは?
1月1日から12月31日までに生じた「総合課税・雑所得」で生じた損益を相殺して、税金を下げられる制度のこと。
海外FXの損益通算は「総合課税・雑所得」に該当するものに限られますが、以下のものならどれでも行うことができます。
- 海外FXの損益
- 暗号資産取引の損益
- 本や電子書籍の印税
- セミナーなどの講演料
- ブログやSNSなどによるアフィリエイト収入
- フリマアプリによる売上収入
- ネットオークションの売上収入
- 国民年金などの公的年金 など
例えば海外FX以外にもさまざまな収入源で損益があった場合、課税所得がいくらになるか計算してみましょう。
収入源 | 損益 |
海外FX業者X社 | 100万円 |
海外FX業者Y社 | -20万円 |
暗号資産取引 | -80万円 |
フリマアプリによる売上収入 | 30万円 |
課税所得 | 30万円 |
上記のケースで損益通算しなかった場合は、
- 海外FX業者X社:100万円
- フリマアプリによる売上収入:30万円
の計130万円が課税所得になります。
しかし損益通算すれば他のマイナス分と相殺できるので、課税所得は30万円に減らせます。
したがって雑所得に該当する他の収入源があるなら、損益通算を活用してできるだけ課税所得を減らすようにしましょう。
節税方法2:必要経費をできるだけ計上する
節税方法二つ目は「必要経費をできるだけ計上する」です。
必要経費とは?
所得を得る場合に必要となった経費のこと。
必要経費を計上すれば課税所得を小さくできるため、結果的に税率を抑えることができます。
必要経費にできるものは、以下の通り。
- FXに関する書籍
- FXのセミナーや講習代
- セミナーや講習に参加するための交通費
- パソコン代
- 電気代やインターネット料金、家賃 など
ここで必要経費の注意点が、2つあります。
注意点一つ目は「必要経費の証拠を残す」です。
なぜなら一般人であろうとも、ドラマや映画のように実際に税務調査が入ったときに何にいくら使ったかが証明できなければ、脱税となるからです。
例えばFXの書籍を購入したら、そのレシートを残しておく必要があります。また電気代やインターネット料金もどれだけかかったかを証明できるように、明細書を残しておくことが必要です。
注意点二つ目は「必要経費はFXに関わるものに限定する」です。
例えば、パソコンならプライベートでも使うことがあります。また家賃なら、部屋全体をFXに利用しているとは考えにくいからです。
そのため、FXでの利用割合がどれだけあったかを考えて申告する必要があります。この考え方を「家事按分(かじあんぶん)」と言います。
家事按分の考え方は、下記の通り。
- パソコン:FXの利用時間
- 家賃:マンションなら「FX部屋」のみ、ワンルームなら「パソコンの占有スペース分のみ」など
基本的に全額を経費として計上するのは難しいですので、税務調査で説明ができるようにルールを決めてから家事按分の割合を決定しましょう。
節税方法3:各種控除を利用する
節税方法三つ目は「各種控除を利用する」です。
控除とは?
「差し引く」という意味。
所得税を抑える控除は「所得控除」と呼ばれる。
所得を求める計算式において、「収入-所得控除=所得」という形で利用される。
上記の式から分かる通り、控除を利用すれば税金を計算する基となる各種所得が小さくなるので、結果的に税金を少なくすることができます。
控除は全部で14種類ありますが、その中で確定申告しなければ適用されないものに限定すると、以下の通り。
所得控除の種類 | 控除になる対象 |
雑損控除 | 災害や盗難等によって生じた損害費用 |
医療費控除 | 1月1日から12月31日までに支払った同居している家族全員の医療費 |
寄付金控除 | ふるさと納税や法人への寄付金 |
雑損控除は、台風や地震などの災害で損失した資産や、空き巣などの盗難で紛失した資産があった場合に適用できる控除です。近年では災害が多いので、適用できるなら利用しておきましょう。
医療費控除は、1年間に支払った医療費で利用できる控除です。日常をともにしている家族の分まで負担しているなら、まとめて控除できます。
寄付金控除とは、ふるさと納税などで寄付した場合に利用できる控除です。ふるさと納税を利用すれば、控除で税金が下がる以外に返礼品も貰えるので、お得になります。
ここまで紹介した各種控除を利用すれば、節税できる可能性があります。
もし自分でも利用できそうな控除があれば、できるだけ利用するようにしましょう。
まとめ:海外FXの税金に抜け道はないので、他の方法で節税をしよう
海外FXの税金は国際的な取り組みにより、各国の税務署や金融機関が脱税をさせまいと連携を取っています。そのため、抜け道は無いと肝に銘じておきましょう。
しかし、合法的に税金を少なくする方法があることも事実です。
工夫次第で支払うはずだった税金を圧縮して最小にできるので、自分でもできそうな節税方法がありましたら利用するようにしましょう。
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