海外FXは高いレバレッジで取引できるため、多くの利益を得られる可能性があります。
とはいえ、税金も高く、少しでも節税する目的で他の所得と損益通算したいと考えている人も多いでしょう。
ただ、海外FXと国内FXでは損益通算のルールが異なるので、注意が必要です。
そこでこの記事では、以下の内容について詳しく解説します。
この記事でわかること
- 海外FXの利益に対しても損益通算ができるのか?
- 損益通算で、どのくらい節税できるのか?
- 損益通算できないもの
この記事を読めば、損益通算できるものとそうでないものがわかるようになります。ぜひ、最後まで読んでみてください。
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Contents
損益通算の基礎的な知識を解説
損益通算は、海外FXで取引するにあたって非常に重要な節税方法です。
まずは、損益通算の基礎的な知識について理解しましょう。
損益通算とは他の所得と損益を相殺する制度
損益通算とは、他の所得と損益を相殺する制度です。
例えば、海外FX業者Aで100万円の利益、海外FX業者Bで50万円の損失が出たと仮定します。
この場合、海外FX業者Aの利益と海外FX業者Bの損失を相殺できるため、所得を100万円から50万円に減らせます。
100万円(利益)-50万円(損失)=50万円
所得税は所得を元に税金が計算されます。損益通算して所得を50万円に減らしたことで、支払う税金も抑えられるのです。
国内FXと海外FXの損益通算の違い
国内FXの場合は、一部の先物取引のみ損益通算が可能です。
一部の先物取引とは、外為オプション・くりっく365・バイナリーオプション・CFD・先物オプションなどがあります。
一方、海外FXの場合は、それら先物取引とは損益通算ができません。加えて国内FXの損益とも合算不可能です。
しかし、仮想通貨や副業収入など雑所得と損益通算できるため、海外FXの方が節税しやすいケースもあります。
海外FXで取引するなら必ず損益通算を行う
海外FXでは、利益を得るほど税率が上がる累進課税税率を採用しており、国内FXよりも税金が高くなりがちです。
国内FXの利益にかかる税金は一律20.315%ですが、海外FXの税金は最大45%もかかります。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
1,000円 から 1,949,000円まで | 5% | 0円 |
1,950,000円 から 3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
3,300,000円 から 6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
6,950,000円 から 8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
9,000,000円 から 17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円 から 39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円 以上 | 45% | 4,796,000円 |
参考:国税庁
このように、海外FXは利益が増えるほど税金の負担が重くなります。少しでも節税するために損益通算を活用するようにしましょう。
海外FXの利益と損益通算できるもの
海外FXの利益と損益通算できるものは以下の3つです。
- 他の海外FX業者の損益
- 副業の収入(雑所得に該当するもの)
- 公的年金の雑所得
損益通算できる費用について順番に見ていきましょう。
1.他の海外FX業者の損益
他の海外FX業者との損益通算は可能です。
仮に海外FX業者3社の損益が以下のケースだった場合の所得を計算してみましょう。
以下のようなケースでは、3社の損益を相殺できるので、所得は50万円になります。
- A社…利益100万円
- B社…利益50万円
- C社…損失100万円
100万円(A社の利益)+B社50万円(B社の利益)-100万円(C社の損失)=50万円
もし損益通算をしなかった場合は、150万円が課税所得になり、税金を多く支払わなければなりません。
複数の海外FX業者で取引している場合は、忘れずに損益通算しましょう。
2.副業の収入(雑所得に該当するもの)
以下のような副業の収入は雑所得になるので、損益通算できます。
- せどり
- ライター
- デザイン
- アフィリエイト
- 動画編集
最近は、サラリーマンが副業するケースも増えており、副業収入と損益通算できるのは大きなメリットです。
また、海外FXは、仮想通貨の取引とも損益通算ができます。
仮に以下のような場合で考えてみましょう。
- 海外FXの利益が100万円
- 副業の利益が50万円
- 仮想通貨の損失が150万円
このようなケースでは、損益通算をすれば所得は0円になります。
100万円(海外FXの利益)+50万円(副業の利益)−150万円(仮想通貨の損失)=0円
つまり、税金がかからないので、損益通算しなかった場合と比べれば雲泥の差です。
3.公的年金の雑所得
海外FXの損益は国民年金、厚生年金、企業年金など公的年金の雑所得とも損益通算が可能です。そのため、年金受給者は忘れずに申告する必要があります。
例えば海外FXで50万円の損失が出て、公的年金の収入が200万円あったケースで考えてみましょう。
この場合、海外FXの損失を公的年金の収入から引くことで、所得を150万円に減らせます。
200万円(公的年金の収入)−50万円(海外FXの損失)=150万円
海外FXの利益と損益通算できないものの代表例
海外FXの利益は副業や公的年金と損益通算できます。ただ、損益通算できないものもあるので把握しておきましょう。
- 国内FXの損益
- 事業所得
- 給与所得
それぞれの費用について順番に見ていきましょう。
1.国内FXの損益
海外FXの損益は国内FXの損益と合算できません。
どちらも同じ雑所得ではありますが、国内FXは申告分離課税、海外FXは総合課税に該当するため損益通算ができないのです。
したがって、海外FXと国内FXで100万円ずつ所得がある場合、別々に計算する必要があります。
まず、海外FXの場合、所得税は、所得税率に則って計算します。そして住民税は課税所得の10%のため、10万円です。
100万円×5%=5万円
100万円×10%=10万円
したがって、合計すると海外FXの税金は15万円。
次に国内FXの場合は一律20.315%の税金がかかるので、203,150円です。
100万円× 20.315% = 20万3,150円
つまり、海外FXの税金と国内FXの税金合計額は353,150円となります。
15万円+20万3,150円=35万3,150円
2. 事業所得
海外FXは、個人事業主として仕事をした際に得られる事業所得とは損益通算できません。
よって、事業所得と海外FXでの所得は分けて計算する必要があります。
開業届を出して事業を行っている個人事業主にとっては、大きなデメリットです。
ただし、雑所得に該当される副業収入については、損益通算が可能です。
3. 給与所得
海外FXの所得は、給与所得との損益通算もできません。したがって、給与所得500万円、海外FXでの損失が100万円ある場合は、500万円で税金を計算します。
海外FXで損失が出ても、損益通算はできないので、注意が必要です。
損益通算をするとどのくらいの節税効果があるのかを解説
この章では、損益通算をするとどの程度の節税効果があるのか説明します。
- 損益通算をしなかった場合
- 他の海外FX業者との損益のみを損益通算した場合
- 副業収入を損益通算した場合
3つのケースについてそれぞれ解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
1.損益通算をしなかった場合
まず、海外FXでの所得が500万円ある場合に、一切損益通算をしなければ、支払う税金額はどうなるでしょうか?
- 所得税:500万円×20%ー427,500円=572,500円
- 住民税:500万円×10%=50万円
- 合計:572,500円+50万円=107万2,500円
損益通算をしないと、100万円を超える税金を支払う必要があります。
2.他の海外FX業者との損益のみを損益通算した場合
次に、海外FXでの所得が500万円で、他の海外FX業者のうちB社が200万円の利益、C社が400万円の損失の時に支払う税金を考えます。
- 所得:500万円+200万円-400万円=300万円
- 所得税:300万円×10%ー97,500円=20万2,500円
- 住民税:300万円×10%=30万円
- 合計:20万2,500円+30万円=50万2,500円
損益通算を行うことによって、先ほどのケースと比べ、支払う税金がかなり少なくなったのがわかります。
3.副業収入を損益通算した場合
最後に海外FXで100万円の損失、副業のアフェリエイト収入が200万円の場合に支払う税金を計算します。
- 所得:200万円-100万円=100万円
- 所得税:100万円×5%=5万円
- 住民税:100万円×10%=10万円
- 合計:5万円+10万円=15万円
副業の利益と海外FXの損失は損益通算可能です。課税所得が200万円から100万円に減ったので、支払う税金も安くなります。
まとめ:海外FXの節税をするなら損益通算をしよう
海外FXは、副業収入や公的年金などとも損益通算できるため、うまく活用すれば大きな節税になるでしょう。
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