といった疑問をもっていませんか?
FXの手法を調べているときに、両建てという言葉を目にして、どのような意味があるのか気になっている方は多いでしょう。
中には、両建ての意味を知っていても、取引にどのような影響を与えるのかを理解できていない方もいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、以下の内容について詳しく解説します。
- 両建ての意味
- 両建てのメリットとデメリット
- 両建てをする方法
この記事を読めば、両建ての概要を理解したうえで、自分が使うべき手法なのかが判断しやすくなるでしょう。
両建てを取り入れようとしている方は、ぜひ参考にしてみてください。
Contents
両建てとは?
両建てとは、同じ通貨ペアで買いと売りのポジションを同時に保有することです。
相場がどちらに動いたとしても、一方のポジションで含み益、もう一方のポジションで含み損が発生することで損益が発生しない状況をつくれます。
例えば、1ドル120円で両建てをしたあとに為替レートが123円に上がった場合、それぞれのポジションの含み損益は、以下のようになります。
買いポジション | 3円の含み益 |
売りポジション | 3円の含み損 |
この場合の収益は「3円の含み益+3円の含み損=プラスマイナスゼロ」となります。
このように両建ては、一時的に含み損益をゼロにすることができる手法です。
ただし、両建てをすると取引コストが大きくなったり、ロスカットのリスクが高まったりするため、基本的に推奨されていません。
両建てするメリット
初心者には推奨されないことが多い両建てですが、目的によってはうまく活用できる可能性があります。
両建てをするメリットには、以下の3つがあります。
- 含み損の拡大を一時的に抑えられる
- 相場の様子見ができる
- 含み損を翌年まで繰り越せる
それぞれ詳しく見てきましょう。
1.含み損の拡大を一時的に抑えられる
買いポジションを保有中に相場が下落すると、含み損が拡大します。
そのときに売りポジションを新しく保有すれば、含み益が発生して、損失の拡大を抑えられます。
具体例として、米ドル/円の取引で1ドル130円のときに1万通貨の買いポジションを保有し、128円に下がったタイミングで両建てしない場合と両建てする場合を見ていきましょう。
両建てしない場合は、1ドル128円になったときに「130円-128円×1万通貨=2万円」の含み損が発生し、さらに1ドル126円まで下落すると含み損が4万円まで拡大します。
しかし、1ドル128円になったタイミングで1万通貨の売りポジションを保有すれば、1ドル126円になった場合に2万円の含み益が得られます。
その結果、含み損4万円を含み益2万円で相殺し、実質的な含み損は2万円まで減らすことが可能です。
ただし、後述するマイナススワップやスプレッドが原因で、想定していた効果が得られないこともあるため、損切りを選択した方が良いケースもあります。
2.相場の様子見ができる
両建てにより一時的に含み損の拡大を抑えられれば、精神的な負担を軽減できます。
そうすることで、一度冷静になって相場を分析する時間がつくれます。
ただし、いずれは両建てを解除しなければならないため、自分の資金や相場の状況などを確認し、なるべく早い段階で戦略を立て直すことが大切です。
3.含み益を翌年まで繰り越せる
年末に含み益があり、課税を1年遅らせたいというときに、両建てを活用するケースもあります。
FXでは基本的に、12月31日までに確定した利益が課税対象となり、含み益には税金がかかりません。
両建てをしておけば、含み益の減少を防ぎながら、翌年まで繰り越せます。
会社員の場合は、FXや副業などで得た所得の合計が年間20万円を超えると、確定申告が必要となります。
例えば、以下のケースで両建てをする流れを見ていきましょう。
- 副業でFXをしている方
- 12月時点で年間19万円の利益が確定
- 12月時点で5万円の含み益が出ている買いポジションを保有
トレンドが落ち着き、利益を確定したいタイミングが訪れても、決済すると年間の利益が20万円を超え、確定申告が必要になります。
この場面で、買いポジションと同じ通貨量で売りポジションを保有して両建てをすれば、利益を固定しながら含み益を翌年まで繰り越せます。
相場変動によって買いポジションの含み益が4万円に下がったとしても、売りポジションで1万円の含み益が発生しているため、トータルでは5万円の含み損を維持することが可能です。
翌年に2つのポジションを決済すれば、5万円の含み益を維持したまま、確定申告を回避できるでしょう。
住民税の場合は所得が基準以下であっても申告は必要となるため、1円でも利益が出たら自治体窓口での手続きが必要です。
両建てするデメリット
両建てするデメリットには、以下の4つがあります。
- マイナススワップが発生する可能性がある
- スプレッドの負担が増える
- ロスカットのリスクが高まる
- 大きな利益を狙えない
一つずつ詳しく見ていきましょう。
1.マイナススワップが発生する可能性がある
スワップポイントとは、2つの通貨を交換するときに生じる金利差のことで、金利が低い通貨を売って金利の高い通貨を買ったときは、そのポジションを保有している間は利益を得られます。
一方、金利の高い通貨を売って金利の低い通貨を買ったときは、マイナススワップという損失が出てしまいます。
両建ての場合は、プラスとマイナスのスワップポイントが一緒に発生するため、相殺されてしまい、利益が残ることはほとんどありません。
ただし、マイナススワップの金額が大きくなると、損失が出るケースも考えられます。
2.スプレッドの負担が増える
スプレッドとは、トレードごとに発生する買値と売値の価格差のことで、実質的な取引コストです。
両建ては、買いと売りの両方のポジションを保有するので、単純にスプレッドも2倍かかります。
経済指標の発表前など、スプレッドが広がりやすい時間帯に両建てをすると、取引コストがかかることで利益が狙いにくくなるでしょう。
3.ロスカットのリスクが高まる
ロスカットとは、含み損の拡大により、証拠金維持率が一定の水準まで下がったときに、ポジションを強制決済される仕組みです。
証拠金維持率は「純資産÷必要証拠金×100(%)」で求められ、必要証拠金が大きくなるほど、証拠金維持率は下がりやすくなり、ロスカットのリスクが高まります。
FX業者の中には、両建てしたときに買いと売りのポジションそれぞれに証拠金を必要とするところがあります。
両建てにより、多くの証拠金が必要になれば、価格が大きく変動したときのロスカットのリスクが高まるでしょう。
なお、BigBossで両建てをした場合は、必要証拠金が相殺されます。
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4.大きな利益を狙えない
両建てでは、相場が動いたときに一方のポジションがプラスになっても、もう片方がマイナスになってしまうため、大きな利益を狙うのは困難です。
また、必要証拠金が増えると、保有できるポジションも減ってしまうので、その分利益も狙いにくくなります。
FXトレードで両建てをする方法
ここでは、実際のチャートを用いて両建てする方法を紹介します。
両建てをする場面と解消する場面に分けて見ていきましょう。
1.両建てをする
下落を期待して下図の1で売りポジションを保有したあと、想定よりも下落せず上昇に転じた場面で、さらなる上昇を予想し、2で買いポジションを保有します。
両建てをする際は、買いポジションを保有した時点で売りポジションは決済せず、そのまま相場を分析します。
この状態で上昇が続いても、両建てをしていれば、含み損の拡大を抑えながら今後の戦略を立て直すことができるのです。
2.両建てを解消する
売りポジションの含み損を相殺できる価格、もしくはそれよりも高い価格で買いポジションを決済すれば、損失を抑えられます。
下図の3で買いポジションのみを決済し、両建てを解消したあと、売りポジションを保有した価格を下回った4で決済すれば、両方のポジションで利益を狙えます。
ただし、3よりもさらに価格が上昇したり、4まで価格が戻らなかったりすれば、損失が発生してしまいます。
想定通りに価格が動かない場合は、大きな損失が発生する前に損切りをすることをおすすめします。
FXトレードで両建てをする際の注意点
FXトレードで両建てをする際は、両建てを禁止している業者があることや、初心者にはおすすめできない手法であることを押さえておきましょう。
ここでは、FXトレードで両建てをする際の注意点を解説します。
両建てを禁止しているFX業者がある
両建ての方法には、主に以下の3つがあります。
- 同一口座内での両建て
- 複数口座間での両建て
- 異なるFX業者間での両建て
これらの中でも、2と3の両建てを禁止しているFX業者は多くあります。
禁止されている両建てをしていることが業者にばれると、以下のようなペナルティが課せられる場合があります。
- 利益の没収
- 最大レバレッジの制限
- 出金拒否
- 口座凍結
これらのペナルティを避けるためにも、利用する業者の両建てに関するルールを事前に確認しておきましょう。
FX初心者にはおすすめできない
両建ては、複数のポジションを保有することになるので、含み益や含み損、スプレッドの管理が複雑になります。
両建てで情報量が増えると、混乱して判断ミスを引き起こしてしまう可能性があるので注意が必要です。
また、両建ては解除するタイミングが難しいといわれています。
含み益と含み損でプラスマイナスゼロになるからといって、ポジションを保有し続けると、両建てを解除するタイミングを見逃してしまいます。
ポジションの管理や両建てを解除するタイミングが難しいことから、FX初心者にはおすすめできない手法です。
両建てに関するよくある疑問に回答
最後に、両建てに関するよくある疑問に回答していきます。
1.両建ては必勝法なの?
両建てに限らず、相場の動きを完全に予測できないFXで必勝法というものは存在しません。
両建ては、一時的に含み損の拡大を抑えられるものの、スプレッドの負担が増えたり、マイナススワップが発生したりすることで手元に残る利益が少なくなります。
また、大きな利益が狙いにくくなるので、非効率的な手法ともいえます。
2.両建ては意味がない?
両建ては、メリットよりデメリットが多いため、意味がある手法とは言い切れません。
使い方を間違えると、損失を広げてしまうこともあります。
相場の様子見や税金対策などの目的がある場合を除いて、両建てを取り入れるのはおすすめできません。
3.両建てが推奨されていない理由はなぜ?
両建てが推奨されていないのは、以下のようなリスクがあるためです。
- マイナススワップが発生する
- スプレッドの負担が増える
- ロスカットのリスクが高まる
ポジションの管理が難しくなったり、大きな利益を狙いにくくなったりすることも両建てが推奨されていない理由の一つです。
まとめ:FXトレードでは両建てを避けるのがおすすめ
両建ては、含み損の拡大を一時的に抑えたいときや、含み益を翌年まで繰り越したいときに活用できる手法です。
ただし、スプレッドの負担が増えたり、大きな利益が狙いにくくなったりするため、積極的に取り入れるのはおすすめできません。
あくまで知識の一つとして、両建てを把握しておくのが良いでしょう。
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